講師:西沢 保(一橋大学)、栗田啓子(東京女子大学)、石原俊時(東京大学)、田村信一(北星学園大学)、雨宮昭彦(首都大学東京)、重田園江(明治大学)
入場無料(要参加登録)
プログラム (各発表45分、質疑15分)
10:00 西沢 保(一橋大学)「イギリス資本主義と自由主義の変貌」
11:00 栗田啓子(東京女子大学)「協働と共生―19世紀末「社会経済」の新たな可能性」
12:00 昼休み
13:10 石原俊時(東京大学)「20世紀初頭スウェーデンにおける福祉社会と経済思想」
14:10 田村信一(北星学園大学)「ドイツにおける資本主義終焉論-ゾンバルト、ヴェーバー、シュンペーター」
15:10 コーヒー・ブレーク
15:30 雨宮昭彦(首都大学東京)「<ポスト大転換システム>の課題と類型―ナチズムから戦後システムへ」
16:30 重田園江(明治大学)「世紀転換期のフランス社会連帯主義」
17:30 全体討論
18:30 懇親会(~19:30)
近年、格差・社会的不平等の拡大とリーマンショック後の金融・経済危機が進行するなかで、自由競争や市場経済の問題点が改めて指摘されている。自由貿易主義の信仰に基づいたグローバル化の進展は、不安定雇用の増加と賃金・労働条件の悪化、国際的不平等の拡大をもたらし、「協調的保護主義」(E.トッド)も提唱されている。自由競争・自由貿易の形で表現された経済的自由主義は国内的にも国際的にも欠陥を露呈し、社会主義の崩壊後、経済システムの収斂の軸とみなされた英米型の「自由競争的資本主義」の優位が揺らぎ、資本主義の「多様性」が今更ながら注目を浴びている。
歴史的に経済発展の「段階」と「類型」に規定され資本主義は多様性を示してきた。世紀転換期と1930年代不況期に経済的自由主義は「社会問題」や不況への対応をめぐり根本的な再検討を迫られ、自由放任型自由主義に対して「介入的自由主義」、「社会経済」、連帯主義など、さまざまな代案が論じられ、また、19世紀末以後保護貿易主義への回帰の下で、保護貿易と自由貿易の関係の再検討も行われた。
本講座は、一流講師陣による丸一日のシンポジウム形式で、経済的自由主義の再検討と変貌の歴史を振り返り、その将来を考える智慧の一助にしたいと思います。(企画・司会:廣田 功)
講師主著
西沢 保『マーシャルと歴史学派の経済思想』岩波書店、2007年
栗田啓子『エンジニア・エコノミスト』東京大学出版会、(渋沢・クローデル賞、日経経済図書文化賞)
石原俊時『市民社会と労働者文化―スウェーデン福祉国家の社会的起源』木鐸社、1996年
田村信一『グスタフ・シュモラー研究』御茶の水書房、1993年(日経・経済図書文化賞)
雨宮昭彦『競争秩序のポリティクス』東京大学出版会、2005年
重田園江『連帯の哲学I フランス社会連帯主義』勁草書房、2010年