「美とは痙攣的なものだろう、さもなくば存在しないだろう」
――この言葉を聞いたことはありませんか?シュルレアリスムの創始者、アンドレ・ブルトンの小説『ナジャ』の一節です。20世紀最大の芸術運動と言われるシュルレアリスム。ポンピドゥセンターの所蔵品によって、その全貌を明らかにする日本最大規模の展覧会が、2月から5月にかけて国立新美術館で開催されています。展覧会の出品作品を中心に、そのストーリーラインに沿いながら、シュルレアリスムの展開とその多面的な様相を紹介いたします。
南 雄介 MINAMI Yusuke
1959年鳥取県生。東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。東京都美術館、東京都現代美術館学芸員を経て、2004年4月より国立新美術館設立準備室に勤務、2009年4月より同館学芸課長。専門は日本および欧米の近現代美術。東京都現代美術館では、中西夏之、河原温、村上隆、横尾忠則などの現代作家の個展のほか、「MOTアニュアル1999 ひそやかなラディカリズム」展、「再考:近代日本の絵画」展などを企画・担当。国立新美術館で携わった展覧会に、「開館記念展 20世紀美術探検」、「大回顧展 モネ」、「アーティスト・ファイル2008」、「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」、「光 松本陽子/野口里佳」、「マン・レイ展」などがある。