高橋 淑子(奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科教授) 司会: 八杉貞雄 (日仏生物学会会長)

会場

日仏会館ホール

共 催:科学部門フランス政府給費留学生の会(ABSCIF) 

 

私たちの体は何十兆個もの細胞からできている。個体発生の過程では、たった1個の受精卵からこれら多くの、しかも多種類の細胞が「分化」する。また細胞は集まって一定の形と機能をもった構造を作る。現在の発生生物学は、これらの過程すべては、最終的には細胞に存在する遺伝子の働きによることを明らかにしてきた。高橋先生は、脊椎動物の発生過程に見られる「体節」という重要な構造に注目し、それがいかにして形成されるかを遺伝子や細胞のレベルで解き明かしておられる。先生は、フランスの研究所で習得された微細な手術などと現在分子生物学の最先端の手法を駆使して、研究に取り組んでこられた。そのエレガントで重要な研究成果にたいして、2010 年度猿橋賞(自然科学の分野で顕著な研究業績をあげた女性科学者に贈られる賞)が授与された。今回は、研究の背景も含めて平易に解説していただく。