講師
片山杜秀
演奏
工藤あかね(ソプラノ)、藤田朗子(ピアノ)
エリック・サティは1866年に生まれ、1925年に逝きました。多感な若き日は世紀末のマラルメやヴェルレーヌの時代。晩年は第一次世界大戦後の機械文明の時代。世の中は激変しました。その中でサティは他の多くの才能ある芸術家のように現在の権威、いま定評あるものに反発し続けました。現在への反発は過去や未来の理想化につながりがちです。とはいえサティのそれはかなり過激でした。過去へのあこがれは同時代人のドビュッシーよりも、未来へのあこがれは同時代人のラヴェルよりも、奇矯で激烈でした。そのせいでサティは同時代的にみればかrなりずれた音楽家でした。しかし、そのずれ方が魅力であり、21世紀になってなおいっそう、サティに存在感を与えているのです。1回目はサティの過去の問題を扱いましたが、2回目には、サティと未来の問題に比重をかけてお話しさせていただきます。歌曲の演奏もお楽しみ頂きます。
プ ロ グ ラ ム
Trois mélodies(1891)
Hymne(1891)
La diva de l’Empire(1904)
Trois mélodies(1916)
Ludions (1923) 全5曲
片山 杜秀
音楽評論家、思想史研究者。1963年生まれ。慶應義塾大学法学部准教授(歴史、政治文化論、仏書講読等を担当)、東京藝術大学音楽学部非常勤講師(音楽美学講義を担当)。音楽関係の著書に『音盤考現学』『音盤博物誌』など、共著書に『戦後日本音楽史』など。2008年にサントリー学芸賞と吉田秀和賞を受ける。