本川達雄(東京工業大学理学部)、井形昭弘(名古屋学芸大学)、柴内裕子(赤坂動物病院院長)

会場

日仏会館ホール

主催:公益財団法人日仏会館

 

日仏医学会、日仏海洋学会、日仏工業技術会、日仏生物学会、日仏獣医学会、日仏農学会、日仏薬学会、日仏理工科会

 

 

日本における人口の高齢化・長寿化は、急速に進展しました。寿命が延びたのは、医学の進歩もあるのでしょうが、栄養状態がよくなって病気に対する抵抗力が増した、というのは大きな要因だと思います。また、長寿化は、経済的な成功が一因でもあります。

 

長寿化は日本だけでなく、先進各国での共通した現象でもあります。2011年の日本人の平均寿命は女性が85.90歳、男性が79.44歳と厚生労働省が発表したが、女性は26年連続世界1位でしたが、香港(86.7歳)に次いで2位となってしまいました。男性も前年の4位から8位に後退しました。原因として東日本大震災の発生が平均寿命を縮める大きな要因と言われます。

 

近年、生物の寿命を延ばす働きのある“長寿遺伝子”がいくつか発見され、老化の研究が急速に進展しています。社会環境の充実、健康科学の普及にも向上させなければならない

 

高齢者が増え、子供が少ない時代、高齢者の健康はより重要性を増しています。

 

 

 

 

 

プログラム

 

*13:00 - 13:10

 

挨拶

 

池田 忠生 (日仏会館学術委員)

 

 

 

 

*13:10 - 14:20

 

本川達雄(東京工業大学大学院生命理工学研究科教授)

 

「生きものの時間と寿命」

 

 動物の時間についてお話しします。それをもとに、寿命や、社会生活の時間について考えます。哺乳類では、時間は体の大きいものほどゆっくりで、時間は体重の1/4乗に比例するという関係があります。心臓が1回打つ時間も、肺が一呼吸する時間も、成獣に達する時間も、寿命も、ほぼこの関係になります。つまり小さい動物の時間は早く、大きいものの時間はゆっくりなのですが、その動物の心臓の拍動を基準にとれば、どの動物でも息を1回する間に心臓は4回打つし、心臓が15億回打てば寿命になるのです。エネルギー消費量にも注目すると、時間の速度はエネルギー消費量(体重当たり)に比例します。エネルギーと時間の関係から、現代人の長寿についても考えてみることにしましょう。

 

 

 

本川達雄

 

(理学博士) 東京大学理学部生物学科(動物学)卒、東京大学助手、琉球大学講師・助教授を経て1991年より東京工業大学教授。専門は生物学、とくに棘皮動物(ウニ、ナマコ、ヒトデ)の生理学・形態学・行動学や、群体性のホヤを用いたサイズの生物学。

 

 

 

 

*14:30 - 15:40

 

井形昭弘 (名古屋学芸大学 学長)

 

「夢の長寿社会」 Création d'une socitété heureuse de longévité

 

 高齢社会の創造は人類が初めて経験する大事業でわれわれは自らの手で未来を創造して行くべき責務を担った。

 

高齢社会は決して暗くない。高齢者の定義を75歳以上とするだけで若い国とのイメージが涌くし、要介護者は高齢者のわずか20%、大部分は健やかで円熟した頭脳と豊富な経験を有し、このネルギーを社会の発展に結びつけることができれば未来は無限に明るくなる。

 

かつての亡国病(脚気、結核、梅毒など)がいずれも制圧された様に認知症も近い将来必ず制圧される。そうなれば未来はガラッと明るくなる。

 

わが国の介護保険は国際的に見て多くの長所を持ち、幸せな長寿社会の演出に成功している。

 

100歳以上の老人も激増しており、50年後には70万に達するとの試算もある。「目指せ、健やかな100歳」はもはや荒唐無稽な目標ではなくなった。適正な生活習慣を身に付ければ長生きできることを医学は教えている。

 

 

 

井形昭弘

 

(医学博士) 浜松出身、84歳。鹿児島大学学長を経て、国立療養所中部病院長として国立長寿医療センターの創設に尽力した。1997年よりあいち健康の森健康科学総合センター長として健康づくりの基礎をつくる。その間厚生労働省社会保障審議会委員として介護保険の導入に努める。2004年に日本尊厳死協会理事長として「世界会議東京2004」を主催する。現在は名古屋学芸大学長。紫綬褒章、勲二等旭日重光章を受章している。

 

 

 

 

 

*15:50 - 17:00

 

柴内 裕子 (赤坂動物病院 院長、公益社団法人日本動物病院福祉協会顧問)

 

「長寿社会と動物のかかわり」

 

1956年国際連合の報告書によると、65才以上の人口が総人口の21%以上を越えると、超高齢社会と分類しています。日本は、2007年の国勢調査で21.5%に達し、正に超高齢社会に突入し、同様の傾向にある世界の国々は、あらゆる対策が急務となっています。その中にあって近年、高齢者が伴侶動物と共に暮らすことによって、その健康を維持する社会的経済負担の軽減に役立つとの発表は高齢化の進む国々にとって注目され、既にドイツ、オーストリアでの調査では、2割の軽減がみられたと報告されました。このような現状をふまえ、(公社)日本動物病院福祉協会が1987年にスタートした、人と動物(自然)とのふれあい活動(Companion Animal Partnership Program=CAPP活動)の内容と成果、そして世界のヒューマンアニマルボンド(Human Animal Bond)=人と動物(自然)との絆の理念に基づいて行われる活動を報告いたします。

 

 

 

柴内 裕子

 

東京に生まれ、1963年東京赤坂に赤坂動物病院を開設、院長となる、1985年日本動物病院協会4代会長、1987年社団法人日本動物病院福祉協会CAPP(Companion Animal Partner Ship Program) 初代委員長、1994年 IAHAIOプロジェクト委員、1996年厚生省畜犬登録に関る検討委員会委員、2000年都市基盤整備公団本社ペットとの共生を考える委員会委員、NPO法人日本介助犬アカデミー常任理事、2003年 厚生労働省介助犬訓練者研修カリキュラム検討会委員、厚生労働省補助犬法認定のための育成基準委員会委員、2007年IAHAIO(人と動物の関係に関する国際組織)特別賞受賞、2008年社団法人日本動物病院福祉協会 厚生労働大臣感謝状受賞

 

 

*17:00 - 18:00

 

綜合討論

 

 

 

 

*18:00 - 19:00

 

懇談