14時10分~ 開始
14時15分 (報告1時間、質疑応答30分)
小田 涼
『貴婦人と一角獣』と『女とオウム』 — 絵画のタイトルにおける言葉の結びつき
“La Dame à la licorne” et “Femme avec un perroquet”- ou différents types de liage entre termes dans les titres de tableaux
絵画のタイトルに二つ(または二つ以上)の名詞があるとき、そのタイトルには描かれた対象の結びつきが表されている。『聖母子』はLa Vierge à l’Enfantのように前置詞àを用い、àのかわりにavecが使われることはない。一方、風景画の場合には、『スケーターのいる冬景色』 Paysage d’hiver avec patineursや『隠者のいる風景』Paysage avec un ermiteのようにavecを使う例もあれば、『釣り人のいる風景』Paysage aux pêcheursのようにàを使う例もある。また、ルノワールの『薔薇を持つガブリエル』Gabrielle à la roseやティツィアーノの『鏡の前の女』La femme au miroirでは、実際の絵では薔薇や鏡は二つあるのに、タイトルではいずれも単数名詞である。本セミナーでは、絵画のタイトルに現れる名詞句と描かれた 対象との関係について発表する。
小田 涼
2000年から2002年までストラスブール・マルク・ブロック大学に、2002年から2004年までパリ・ソルボンヌ大学に留学。2009年に京都大学にて博士(人間・環境学)の学位を取得。現在、京都大学などで非常勤講師
15時45分 休憩
16時 (報告1時間、質疑応答30分)
高山 裕二
「ポピュリズムの時代ーー『トクヴィルの憂鬱』で考える」
Le temps des populistes: entre politique et littérature
『トクヴィルの憂鬱ーーフランス・ロマン主義と〈世代〉の誕生』はフランス革命後に生まれた世代の精神風景をアレクシ・ド・トクヴィルの視座から描き出した一種の群像劇である。この世代のなかでは「人民」が新たな信仰対象として浮上し、ある意味では「宗教」にとってかわることになる(「ポピュリスト」の氾濫!)。この報告では、本書を補助線としてたどりながら、その世代あるいは時代精神を「ポピュリズム」をキーワードに読み解いてみたい。そうすることで、現代政治でしばしば指摘される現象とはまた異なる「ポピュリズム」の側面に光を当てることにもなるのではないか。
高山 裕二
日本学術振興会特別研究員。博士(政治学)。著書には、受賞作の他、『社会統合と宗教的なもの——19世紀フランスの経験』(編著)、『トクヴィルが見たアメリカーー現代デモクラシーの誕生』(共訳)などがある。
17時30分 終了