昨年ノーベル文学賞を受賞したパトリック・モディアーノが脚本を書いた、ルイ・マル監督の映画を上映し、作家でありフランス文学者である堀江敏幸氏とイギリスからフランス文学、日本文学を見続けている川上あかね氏が対談し、映画とモディアーノの魅力を読み解きます。
プログラム
17:00 開 会
17:05~19:25 DVD上映 『ルシアンの青春』(Lacombe Lucien)
1974 /France=R.F.A. / 140 min. / couleurs / 日本語字幕付
監督:ルイ・マル/脚本:パトリック・モディアノ、ルイ・マル/
撮影:トニーノ・デッリ・コッリ/音楽:ジャンゴ・ラインハルト
出演:ピエール・ブレーズ、オーロール・クレマン、テレーゼ・ギーゼ
19:35~20:20 講 演 (堀江敏幸×川上あかね)+Q & A(会場より)
20:20~21:00 懇親会
作品紹介
1944年の初夏、第二次大戦も終焉を迎えつつあったフランス南西部の町フィジャック。そこの病院で清掃作業員として働く17歳のルシアンは、ふとしたことからナチスのゲシュタポとかかわるようになり、その手先としてレジスタンスの活動家やユダヤ人摘発の片棒を担ぐ日々を送っていた。だが、ユダヤ人仕立て屋の娘フランスを知るようになったことから、彼の運命は変わり始めた……。
昨年、ノーベル文学賞を受賞したパトリック・モディアノが、初めて映画の世界に足を踏み入れ、『地下鉄のザジ』の映画監督ルイ・マルとともに脚本を執筆した本作『ルシアンの青春』は、マルが長らくフランスを離れる契機となるとともに、モディアノのテーマでありノーベル賞の受賞理由ともなった「もっともとらえ難い人々の運命を召喚し、占領下の現実を暴露する記憶」が明らかにされた問題作でもあった。
フランス文学者で作家、そしてモディアノの小説『八月の日曜日』(水声社)の訳者でもある堀江敏幸さんと、英国在住のフランス文学者でモディアノ研究家、さらにはエッセー集『ケンブリッジの贈り物』(新潮社)でも知られる川上あかねさんのおふたりにご登壇いただき、モディアノと映画をめぐりつつ、お話をうかがう。