ニューヨークのシンクタンク「ユーラシア・グループ」のイアン・ブレマーが年初予測した2015年国際情勢10大リスクの第1位に上げた通り欧州情勢は「不安定で流動的で地政学的な環境が一段と不安定化、市場にも長期的な動揺」が広がっている。①ギリシャ危機後のユーロ ②ドイツ「帝国」の独走 ③独仏関係の非対称化 ④英国のEU離脱 ⑤ 地中海難民で揺らぐシェンゲン協定 など欧州統合の根幹を揺るがすような動きが相次いでいる。統合はどこに向かうのか。フランスのレクスパンシオン・クラブ名誉会長ルフルニエ氏に現場の実情を語っていただき、討論形式でその展望をお伺いする。
フィリップ・ルフル二エ氏の略歴
ルフルニエ氏は長年、フランス第1の高級経済月刊誌レクスパンシオンの研究所長としてフランスにおける重要な 経済講演会、シンポジウム、インタビュー等を司会を中心に一手に仕切ってきた有名エコノミストである。サルコジ大統領時のカンデュス構造改革委員会の委員 でもあった。その政財界における交友関係は政党色を問わず極めて幅広い。米国留学時代の師、ノーベル賞経済学者ローレンス・クラインと親交、シュンペー ターの創造的破壊の革新に敬意を抱く本格的なエコノミストでもある。日本の伝統や歴史に夫人とともに大きな関心を抱き、90年代に来日以来、大の日本びい きである。アベノミクスの帰趨に大きな関心を抱いている。