1989年秋のイスラム・スカーフ事件から2004年のスカーフ着用を禁止するライシテ法へ、2005年11月のパリ郊外の「移民暴動」から2015年1月と11月のパリ連続テロ事件へと、フランスの移民問題は深刻化の一途をたどり、共和国の統合モデルは失敗に終わったとされる。「自由・平等・友愛」を掲げる共和国に、なぜレイシズム(racisme)と反ユダヤ主義(antisémitisme)とイスラム嫌悪症(islamophobie)がひろがったのか。本セミナーでは、フランス社会の亀裂の実像に人種差別の角度から光をあてる。
・問題提起と司会進行 三浦信孝(日仏会館)
・堀 茂樹(慶應義塾大学)「エマニュエル・トッド『シャルリとは誰か?』は何を示したのか?」
・陣野俊史 (文芸評論家)「サッカーと人種差別」
・ 清岡智比古(明治大学)「フランス移民映画」
(コーヒーブレーク)
・大中一彌(法政大学)「移民と社会階級−−−ノワリエル『フランスという坩堝』を手がかりに」
・鵜飼 哲(一橋大学)「地政学的錯乱と理論的知性−−−ウェルベックからミルネールへ」
・有田英也(成城大学)「共和国への統合装置としての軍、学校、労組、教会−−−ユダヤ系フランス人の過去と現在を手がかりに」
・ 総合討論