山口昌子(ジャーナリスト・前産経新聞パリ支局長)

会場

日仏会館ホール

サルコジ前大統領が当選を果たした前回2007年の大統領選前に「自分は今まで政治家にとって最優先課題は経済問題だと考えていた。また(娯楽番組など)テレビを見ない者は国民の気持ちが理解できないとも考えていた。しかしフランスの大統領たるものは教養がなくてはならないと悟った」と述べ、演説草稿の担当者に歴史や文学の素養の深いアンリ・グエノ氏を指名し、以後、ペギーやミシュレの言葉を重要演説に散りばめるようになった。かようにフランスでは政治家といえども、いや政治家だからこそ教養がないと国民は納得しない。褒め言葉としても「Biencultivé (教養がある)」がよく使われる。いまや日本では死語となった《文化》や《教養》がフランスでは重視されており、ひいてはフランスが国際社会で存在感を発揮している要素の一つを構成している。

 

 

 

山口 昌子 

産経新聞社で教養部、夕刊フジ、外信部次長、特集部編集委員を経て1990年から2011年までパリ支局長。1969年から70年フランス政府給費留学生としてパリ新聞中央研究所に学ぶ。74年に同所の「ジャーナリストのためのヨーロッパ講座」に出席。1994年度のボーン上田国際記者賞受賞。2001年にフランス国家から国家功労賞シュバリエ賞、10年に同賞のオフィシエ賞受賞。
著者に「大国フランスの不思議」(角川書店)「シャネルの真実」(新潮文庫)「ドゴールのいるフランス」(河出書房新社)「原発大国フランスからの警告」(ワニプラス)「フランスよ、どこへ行く」(産経新聞出版)「エリゼ宮物語」(同)「なぜ、フランスは一目置かれるのか」(同)