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『優しき歌』はヴェルレーヌの初期、マチルドとの幸福な婚約時代に書かれた詩集。フォーレはそこから9編を取って作曲(1892-94)。フォーレ自身の創作へのあふれるような幸福感から生まれた中期の作品。『イヴの歌』はベルギーの象徴派詩人レルベルクの代表的詩集。世界の始まりと神が創造した最初の女性イヴが自己自身を発見し、やがて死の沈黙の中に消えて行く物語。フォーレはここから10編を選んで作曲(1906-1910)。『幻想の水平線』は第一次世界大戦のさなか28歳で戦死したフランスの若き詩人ミルモンの詩集。死後に出版された。海原によせる夢、舟での旅立ち、月に向かっての祈り。満たされぬ数々の旅立ちの夢。フォーレはここから4編を選んで作曲(1921)最後の声楽作品である。聴覚を失ったフォーレの『イヴの歌』以下これら最晩年の作品について、哲学奢のジャンケレヴイッチはこう書いている。「孤独が音楽となるとき、秘められた声が魂の声となり、魅惑となり、内奥のさらなる内実に語りかける」。
奈良ゆみ(ソプラノ)
相愛大学声楽科卒業後、フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院に入学。メシアンに注目される。以後パリを拠点にしてヨーロパ各地で演奏活動を続けている。CD録音は、シェーンベルク、メシアン、ドビュッシー、フォーレ、セヴラック、サティ、松平頼則、ヴァイルなど数多くある。
谷口敦子(ピアノ)
神戸女学院大学音楽学部ピアノ専攻卒業。第一回ウイーン国際音楽コンクールにおいてベルヌー賞受賞。ソロリサイタルの他、室内楽、歌曲、合唱曲など様々な分野でコラボレート・ピアニストとして活躍中。