日本では,2015年9月安保関連法案の採決をめぐって,国会が同法案に強く反対する10万人の市民に取り囲まれたことは,なお記憶に新しい。議会というシステムは,果たして本当に民意を適切に代弁しうるのであろうか。ヨーロッパに目をむけると,イギリスで2016年6月に行われた,国民にEU離脱の是非を直接問う国民投票(Brexit)では,離脱賛成派が多数派を占め,イギリス政治は迷走状態に突入した。フランスでは,2017年5月に大統領選が予定されているが,ポピュリスト極右政党党首が少なくとも第1回投票で1位ないし2位となる予測が有力である。アメリカでも,信じがたいポピュリスト的発言をし続ける候補者が大統領となった。 国民が代表者を選挙して彼らに政治を行わせるシステムも,自らが決定に乗り出して国政の最高責任者を決定したり,あるいは政策決定を自ら行うシステムも,いずれも,それぞれ大きな問題を抱えている。グローバル化,難民問題,テロリズムの中で,揺れ動く民意を受け止めるためにどのような民主主義のシステムを構築すればよいのだろうか。大統領制か議院内閣制か,二院制か一院制か,代表民主制の重視か国民投票重視か,現代社会におけるシステムとしての民主主義とそれを支える思想について考えてみたい。
プログラム
13:00-13:15 イントロダクション
山元 一(慶應義塾大学・憲法学)
13:20-13:50 待鳥聡史(京都大学・比較政治制度論)
「政治的リーダーシップと民主主義」
13:50-14:20 毛利 透(京都大学・憲法学)
「現代政治における国民の直接的決定」
休憩
14:30-15:00 只野雅人(一橋大学・憲法学)
「二院制の比較憲法学」
15:00-15:30 吉田 徹(北海道大学・比較政治学)
「現代社会とシステムとしての民主主義」
15:30-16:00 空井 護(北海道大学・現代政治分析)
「民主体制の成立・安定・崩壊」
休憩
16:20-18:00 パネルディスカッション
参加者全員、司会 山元 一
*報告タイトルは,今後変更される可能性があります。