ポール・ヴァレリーは1871年に南仏の港町セットで生まれ「地中海の感興」の中で育った。1945年7月20日の死に際してはドゴールにより国葬をもって遇されセットの「海辺の墓地」に埋葬されたフランス第三共和政の桂冠詩人とも言うべき存在。今年は第一次大戦中の1917年に20年におよぶ「沈黙」を破って長詩『若きパルク』が刊行されて100周年にあたる。ヴァレリーは処女評論『レオナルド・ダヴィンチの方法序説』(1895)でルネッサンスの万能の天才のうちに芸術創造の秘密を探っており、建築、絵画、音楽、舞踏など多岐にわたる芸術分野について思索をめぐらした。生涯を通しエロスとヌース(知性)の葛藤を生きた「ヴァレリーにおける詩と芸術」をテーマに、日仏シンポジウム「芸術照応の魅惑」の第三弾をお届けする。
プログラム
10月21日(土) 10 : 00~18 : 00
10 : 00 開会の辞
三浦信孝(中央大学名誉教授、日仏会館副理事長)
1 / 第三共和政における芸術
ヴァレリーにおける〈精神〉と〈身体〉
司会 田上竜也(学習院大学)
10 : 10 ポール・ヴァレリーにおける〈精神〉の意味
恒川邦夫(一橋大学名誉教授)
10 : 40 ヴァレリーと20世紀初頭における諸芸術
ミシェル・ジャルティ (パリ・ソルボンヌ大学)
11 : 10 レオン・ワルラスとヴァレリーの芸術理論 ─なぜ詩人は芸術に経済学の隠喩を用いるのか─
山田広昭(東京大学)
11 : 40 質疑応答
12 : 10 ランチタイム
2 / ヴァレリーとメディア
司会 澤田 直(立教大学)
13 : 40 絶対的なもののミメーシス ─ヴァレリーを読むアドルノ─
竹峰義和(東京大学)
14 : 10 ヴァレリーと広告
ウィリアム・マルクス(パリ・ナンテール大学)
14 : 40 シミュレーションの詩学 ─ヴァレリーにおける身体の変容─
塚本昌則(東京大学)
15 : 10 質疑応答
15 : 40 コーヒー・ブレイク
3 / ヴァレリーと視覚芸術 絵画と映画を中心に
司会 塚本昌則(東京大学)
16 : 00 絵画のポエジー ─ヴァレリー、マルロー、バタイユ ─
永井敦子(上智大学)
16 : 30 大芸術家の肖像 ─ダ・ヴィンチからドガへ─
今井 勉(東北大学)
17 : 00 ヴァレリーと映画 ─L'Isle sans nomをめぐって─
ジャン=ルイ・ジャンネル(ルーアン大学)
17 : 30 質疑応答
10月22日(日) 10 : 00 ~ 17 : 20
4 / 思考のエロス 芸術論の根源
司会 山田広昭(東京大学)
10 : 00 ヴァレリーとブルトン ─思考のエロス─
松浦寿輝(詩人・作家)
10 : 30 ヴァレリー、ある伝記上の冒険
ブノワ・ペータース(作家・批評家)
11 : 00 ヴァレリーとポッジ ─エクリチュールの相克─
松田浩則(神戸大学)
11 : 30 質疑応答
12 : 00 ランチタイム
5 / ヴァレリーと音楽 リズムと声
司会 恒川邦夫(一橋大学名誉教授)
13 : 30 ヴァレリーとリズム ─ドイツ近代からの視座─
宮田眞治(東京大学)
14 : 00 リズムと吃音 ─「異質な機能作用」に出会う体─
伊藤亜紗(東京工業大学)
14 : 30 〈声〉の詩学 ─諸芸術照応の源泉としての─
田上竜也(学習院大学)
15 : 00 質疑応答
15 : 20 全体討議
司会 塚本昌則(東京大学)
16 : 00 コーヒー・ブレイク
16 : 20 フランス音楽小コンサート
古澤英子(ヴァイオリン)
津留崎直紀(チェロ)
ジョージ・マルティン(ピアノ)
• クロード・ドビュッシー
「月の光」
「美しき夕べ」
「都に雨の降るごとく」
• モーリス・ラヴェル
「ピアノ三重奏曲 イ短調」