小説家として著名なマルグリット・デュラスが、自らの小説を映画化。愛し合いながらも分かれることを運命づけられた男女が、冬の海辺のヴィラでひとときを過ごすなかに描かれる可能な愛.....。『インディア・ソング』を経て、デュラス映画の極点ともいえる本作を通し、映画作家としのマルグリット・デュラスを見てゆきます。
『マルグリット・デュラスのアガタ』(Agatha)
1981年 / フランス / 86 分 / カラー / 日本語字幕付
監督・原作・脚本:マルグリット・デュラス/撮影:ドミニク・ル= リゴルール、
ジャン= ポール・ムリス/音楽:ヨハネス・ブラームス
出演:ビュル・オジエ、ヤン・アンドレア/声:マルグリット・デュラス、ヤン・アンドレア
プログラム
18:30 開 会
18時35分~20時05分 DVD 上映
20時10分~ 20時40分 解説・講演
作品紹介
冬、海辺に建つ古びた別荘にふたりの男女がやって来る。かつて愛し合っていたらしいふたり。やがてふたりの対話から、過去の記憶がよみがえり、不可能な愛のあらましが明らかになってゆく──。
マルグリット・デュラスが自らの原作小説を映画化。愛し合いながらも別れてゆかざるを得ないふたりの男女(なぜならふたりの関係はあらかじめ禁じられたものだったのだから……)、ゆるやかなときの流れ、近く遠くの海から聞こえる波の音、くり返されては消えてゆくふたりの対話……ここにあるのは、
小説家としてではない、もうひとつのデュラスの世界そのものだ。
かつて、『インディア・ソング』(1975)で人々を魅了したデュラス映画の極点ともいえる本作は、彼女が映シ ネアスト画作家として現代映画の地平を切り拓きつつあったことを明らかにもしている。デュラスが第二次大戦の記憶を綴った、『苦悩』をもとにした映画の日本公開も間近にひかえ、映画と文学との奥深い関係を、マルグリット・デュラスを通してさらに深く見つめてみたい──。