日本の詩がなお伝統的定型に強く縛られていた20世紀初頭、北原白秋は五と七の枠にとどまりながら、五音句と七音句の斬新で多彩な組み合わせによって、日本近代詩に新風をもたらしました。その白秋の導きとなったのが上田敏訳のヴェルレーヌ詩であったことを、講演者は白秋の初期詩篇の分析を通して具体的に説き明かします。また、韻律を脱した自由詩よりも定型性の高い詩のほうが訳しやすいという逆説を披露します。原詩・訳詩はプリントで配布します。
ドミニク・パルメ(Dominique Palmé)
1949年パリ生まれ。パリ第3大学で比較文学の修士号を取得。1979年よりフリーランスの翻訳家、通訳として活動。1986年以降は主に現代日本文学を翻訳している。池澤夏樹、三島由紀夫、よしもとばなな、井上靖など翻訳作品は20作品を越える。1995年に中村真一郎『夏』の翻訳で小西国際交流財団文学翻訳賞を受賞。宇野千代『おはん』、大岡信編『現代詩の鑑賞101』(共訳)、谷川俊太郎『世間知ラズ』などを翻訳している。
主な翻訳
1993 : L’été / Nakamura Shin’ichiro 1995年日仏翻訳文学賞(小西国際交流財団)
1994 : Kitchen / Banana Yoshimoto
1995 : La vie immobile / Ikezawa Natsuki
1996 : Notes de Hiroshima / Kenzaburô Oé
2000 : Correspondance : 1945-1970 / Yasunari Kawabata, Yukio Mishima
2000 : La musique / Yukio Mishima
2001 : Lézard / Banana Yoshimoto
2004 : Les anges de Klee / Tanikawa Shuntarô, Abstème & Bobance
2010 : 1000 vents, 1000 violoncelles / écrit et illustré par Hideko Ise
2014 : L’ignare (sekenshirazu)/ Tanikawa Shuntarô, édition bi-lingue, Cheyene éditeur
2014 : 101 poèmes du Japon d’aujourd’hui, éd. Ôoka Makoto, Phillipe Piquier (tr. avec Yves-Marie Allioux) 大岡信編『現代詩の鑑賞101』新書館, 1998
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