フランスの哲学者マルセル・ゴーシェは「宗教からの脱出」という見方で西洋キリスト教世界の近現代を特徴づけました。アブデヌール・ビダール氏は、西洋型の「宗教からの脱出」とは異なるイスラームにおけるもうひとつの「宗教からの脱出」の可能性について語っています。それは、宗教と世俗の双方を批判的にとらえ返しつつ、宗教と世俗の向こう側を見ようとする試みです。それは「世俗からの脱出」を意味するのでしょうか。ビダール氏は、スピリチュアリティによって刷新されたイスラームは共和主義的なライシテをより人間的にする可能性があると考えているようです。対談形式の本セミナーでは、日本における「宗教からの脱出」や「世俗からの脱出」をどう語りうるかという観点からの比較も試みます。
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