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若手研究者を中心とする、分野横断型の相互啓発セミナーです。講師の3人には、それぞれの専門分野を踏まえながら、研究成果や現在の関心のありかを専門外の聴衆にもよくわかるように語っていただきます。どうぞふるってご参加ください。
【プログラム】※都合により、西村先生と兵田先生の発表順を入れ替えました。
14:00 開会 伊達聖伸
14:10 上村剛 「『法の精神』・ケベック法・アメリカ建国」
15:20 休憩
15:30 兵田愛子「ルネ・カピタンの議院内閣制論――議院内閣制の目的と制度設計」
16:40 休憩
16:50 西村晶絵「ジッド、モーラス、マリタンの「キリスト教」と政治思想」
18:00 閉会
【講師プロフィール・発表概要】
上村剛(かみむら・つよし)
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。現在、日本学術振興会特別研究員PD(法政大学)、明治学院大学ほか非常勤講師。専門は政治思想史。主著に『権力分立論の誕生 ブリテン帝国の『法の精神』受容』(岩波書店、2021年)、「アメリカ革命と歴史叙述の政治思想」『社会思想史研究』44号、2020年などがある。
「『法の精神』・ケベック法・アメリカ建国」
3月に刊行した拙著『権力分立論の誕生』ではモンテスキューの『法の精神』が1763年に誕生したブリテン帝国において広範に受容され、その解釈の変遷のなかで「モンテスキュー=三権分立」という図式が登場したことを明らかにした。その過程のなかで重要な要素の一つがフランスの植民地からブリテンの植民地へと変化したケベックである。本発表ではケベック統治をめぐる政治論争がいかに権力分立概念に影響を与えたかを、1774年ケベック法とそれに対する批判的応答を中心に論じる。そのうえでケベックにおけるフランスとブリテンの政治思想の複雑な交錯の意義と、アメリカ建国ならびにその後のカナダ政治思想の展開についてもあわせて議論する。
兵田愛子(ひょうだ・あいこ)
関西大学大学院法学研究科博士課程後期課程修了(博士/法学)。現在、関西大学社会安全学部非常勤講師。ルネ・カピタンの議院内閣制論と、欧州人権裁判所判例における表現の自由論を専門とする。論文に「ルネ・カピタンの議院内閣制論」(関西大学法学論集68巻1- 3号、2018年)、「欧州人権裁判所と欧州人権条約締約国における法的対話にみる課題の一事例」(『国際人権』31号、2020年)等がある。
「ルネ・カピタンの議院内閣制論――議院内閣制の目的と制度設計」
近時、ルネ・カピタン(元・日仏会館フランス学長、憲法学者)の議院内閣制論が日本の議院内閣制論に悪影響をもたらしている可能性が指摘されている。そこにおいて、カピタンの議論は、内閣が対議会解散権を恣意的に行使することを可能にし(「自由な解散」論)、民主主義を優位において権力分立を否定し(司法権による行政・立法権に対する歯止めを否定し)、すなわち立憲主義を軽視するものとされているように思われる。果たして、カピタンは、そのような理解に立っているのか。本発表では、カピタンの第3共和制期における諸論考を時系列的に分析することにより、その議院内閣制論についての基本的理解を試みる。
西村晶絵(にしむら・あきえ)
東京大学大学院総合文化研究科修了(博士/学術)。大谷大学真宗総合研究所東京分室PD研究員、電気通信大学等での非常勤講師を経て、現在、盛岡大学文学部社会文化学科助教。専門はアンドレ・ジッドを中心としたフランス文学。主な論文に、「1930年代におけるアンドレ・ジッドの共産主義論――オスカー・ワイルドの『社会主義下の人間の魂』との比較論的考察」(『年報 地域文化研究』16号)、「『背徳者』における病――ジッドのニーチェ解釈とキリスト教思想を踏まえて」(『Stella』36号)など。
「ジッド、モーラス、マリタンの「キリスト教」と政治思想」
モーラスを中心とする極右政治思想団体アクシオン・フランセーズ(AF)は、反ユダヤ・反プロテスタントを掲げ、カトリシズムと密接に結びつきながら、19世紀末から20世紀初頭のフランス社会で大きな影響力を持った。このAFには、カトリックのマリタンのみならず、プロテスタントのジッドも一時的に接近している。彼らはなぜモーラスのAFに引き付けられ、その後離反したのか。三人の知識人に関し、その政治思想の特徴やそれぞれの関係性の変化を、「キリスト教」を巡る立場の相違を踏まえ考察する。
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