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フランス革命はフランスの歴史においてのみならず、世界史的に見ても画期をなす重要な事件である。実際に出来事に遭遇したある人々にとっては、自分が拠って立つ大地がその基盤から崩壊していくような感覚を与えられる事件であり、また別のある人々にとっては、当初は革命が掲げた「自由・平等・友愛」の新しい社会を希望させるものでありながら、ジャコバン独裁期にはギロチンに体現される流血の犠牲を引き起こした事件であった。「九十三年」は革命を扱う作品ではつねに、革命をどのように考えるのかの試金石として機能し続けた。革命を直接経験した世代から、現代に至るフランスの作家たちはフランス革命をどのように表象してきたのだろうか。フランス革命のどのような時期、どのような側面にスポットを当て、どのような視点を設定し、それをどのように読者に伝えようとしてきたのだろうか。
本講座では、フランス革命の時期を実際に生きたスタール夫人、シャトーブリアン、革命にとりあえずの終止符を打ったナポレオンのブリュメール18日のクーデタ(1799年)の直後に生まれたバルザック、ユーゴー、そしてフランス革命資料を扱った古書店の息子として生まれ第一次大戦直前の時期に「恐怖政治期」を扱った小説を出版したアナトール・フランス、そして私たちと同時代の作家であるシャンタル・トマの作品を取り上げる。フランス革命を主題として取り上げた作家たちの視線を通して、現代にとってのフランス革命、また人間社会にとってのフランス革命を考える機会にしたい。
・村田京子(大阪府立大学名誉教授):スタール夫人『デルフィーヌ』『コリンヌ』
・小野潮(中央大学):シャトーブリアン『墓の彼方からの回想』
・柏木隆雄(大阪大学名誉教授):バルザック『暗黒事件』
・西永良成(東京外国語大学名誉教授):ヴィクトル・ユゴー『93年』
・三浦信孝(中央大学名誉教授):アナトール・フランス『神々は渇く』
・関谷一彦(関西学院大学):シャンタル・トマ『王妃に別れをつげて』
※報告は一人30分行った後、質疑応答を10分行います。途中で10分の休憩を挟み、最後に30分の全体討論を行います。
本講座に関連して、エリック・アヴォカ氏(大阪大学)講演会「フランス革命、文学的想像力への汲みつくしえぬ源泉ーロマン・ロランの「革命劇」をめぐって」が9月24日(金)にオンラインで開催されます(同時通訳付)。詳細は日仏会館・フランス国立日本研究所のウェブサイトをご覧ください。
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