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「加藤周一記念講演会」新シリーズ
フランス文学、フランス文化から出発して自己形成を行ない、自国の文化や文学への重要な問題提起を行なった加藤周一の仕事(『日本文化の雑種性』、『日本文学序説』)を範として、同じく、フランス文学や西欧文化の素養を基盤に、日本文学・日本文化をめぐる独自の知見を披露している講師のお話を聞く企画です。第一回講師は、フランス文学研究から出発し、詩人、小説家、批評家として幅広く活躍されている松浦寿輝さん。
従来、明治以降の日本の「近代文学」は、言文一致体の成立と不即不離のものとして語られてきました。二葉亭四迷や国木田独歩の文業以来、「話すように書く」文章体が編み出され、その洗練によって風景や心理のリアリスティックな表現が可能になったとされます。しかし、言文一致の汎用化によって抑圧され、忘却され、扼殺されてしまった「もう一つの」文学創造の可能性があったのではないでしょうか。本講演では、そうした視角から、漢文脈の文語体でのみ詩や小説を書きつづけ、短い生涯を終えた二人の天才的文学者の独創的な営為に注目し、そこに潜在する「もう一つの近代」の輪郭を素描することを試みます。
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