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2022年に没後20年を迎えたフランスの社会学者、ピエール・ブルデューは、著書『ディスタンクシオン』(1979)において趣味と階級の問題をとりあげ、厖大な統計資料と「文化資本」「社会空間」「ハビトゥス」など独自の概念を駆使して、当時のフランス社会の構造を実証的かつ理論的に分析してみせました。その緻密な議論は、経済面だけでなく文化面でも「格差」の拡大が深刻な問題となっている現代の日本社会にとって参考になる点が少なくありません。本講座では難解で知られる『ディスタンクシオン』の内容をできるだけわかりやすく解説しながら、その応用可能性を探ってみたいと思います。
【各回テーマ】
・第1回 2023年1月24日 「趣味と文化資本」
趣味が単なる個人の好き嫌いではなく、社会的に決定されているというブルデューの基本的な考え方を紹介し、その主因である「文化資本」の概念を解説する
・第2回 2023年1月31日 「社会空間とライフスタイル」
経済資本と文化資本によって描かれる「社会空間」の構造を解説し、これと職業カテゴリー及びライフスタイルとの関係を概観する
・第3回 2023年2月7日 「ハビトゥスと慣習行動」
ブルデューの中心的概念である「ハビトゥス」とは何か、それは私たちの日常的な「慣習行動」とどのように関わっているかを解説する
・第4回 2023年2月14日 「日本社会とディスタンクシオン」
現代の日本社会における格差問題、特に教育格差について、ブルデューの「ディスタンクシオン」理論を参考にしながら考える
参考書籍
『ディスタンクシオン〈普及版〉I』(藤原書店、2020年)
『ディスタンクシオン〈普及版〉II』(藤原書店、2020年)
『差異と欲望』(藤原書店、1993年)
『ブルデュー『ディスタンクシオン』講義』(藤原書店、2020年)
【講師プロフィール】
石井洋二郎
1951年生まれ。専門はフランス文学・フランス思想。東京大学法学部卒、同大学院人文科学研究科仏語仏文学専攻修士課程修了。京都大学助教授を経て、1994年東京大学教授、2013年同大学院総合文化研究科長・教養学部長、2015年東京大学理事・副学長、2019年より中部大学教授、2022年より同特任教授。主な著書に『差異と欲望』(1993)藤原書店、『ロートレアモン 越境と創造』(2008)筑摩書房(芸術選奨文部科学大臣賞)、『フランス的思考』(2014)中公新書、『ブルデュー『ディスタンクシオン』講義』(2020)藤原書店、主な訳書にブルデュー『ディスタンクシオンⅠ・Ⅱ』(2020)藤原書店(渋沢・クローデル賞)、『ロートレアモン/イジドール・デュカス全集』(2001)筑摩書房(日本翻訳出版文化賞、日仏翻訳文学賞)、他多数。