【講師】貝原伴寛(日本学術振興会特別研究員PD)、浜永和希(東京大学)、和田萌(東北大学)
【司会】伊達聖伸(東京大学)

会場

501会議室

定員

30

参加費

無料

言語

日本語

主催

(公財)日仏会館

 

※お申し込み方法についてはこちらのページをご参照ください。


 

人文社会系のフランス研究にかかわる若手研究者3名の講演を中心とするセミナーです。分野横断型の相互啓発セミナーとして、夏恒例の行事となりました。講師役を務める3人には、これまで進めてきた専門的な研究に基づきながら、その成果や現在の関心のありかを、専門分野を異にする研究者・大学院生・学部生・一般聴衆などにも、よく理解できるように語っていただきます。同世代の若手研究者どうしの親睦を図る機会でもあります。今回は、歴史学、文学、国際関係論から1名ずつ登壇します。どうぞふるってご参加ください。

 

 【プロフィール・発表要旨】(発表順に記載)

●貝原伴寛(かいばら・ともひろ)

フランス社会科学高等研究院「歴史と文明」博士課程修了。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)。専門は近世フランス史。論文に「グラフィニ夫人とペットロス─18世紀フランスにおける感情規範の変化に関する一考察」(『日仏歴史学会会報』第37号、2022年)、「『猫の大虐殺』を読みなおす─18世紀フランスにおける人と猫の関係史」(『思想』2020年9月号)等がある。

 

「猫で歴史が書けますか? 18世紀啓蒙を文化史にひらく試み」

現代社会において猫は「かわいい」動物の筆頭として偏愛されている。しかし西洋において中世以来、鼠狩りに使役されながらも、人に懐かない意地悪な動物とされた猫が、いかにして愛情の対象として認知されるようになったのかは、わかっていなかった。報告者は博士論文において、猫のペット化という現象を、〈猫に愛情能力を認める社会的表象の発展〉と〈社会的カテゴリーとしての猫愛好家の誕生〉に細分化し、これらの変化が18世紀フランスにおいて生じたことを論証した。本報告ではいくつかの事例を取り上げて、こうした変化がなぜ18世紀に生じたのかを、啓蒙思想と関連づけて説明したい。  

 

●浜永和希(はまなが・かずき)

フランス・ソルボンヌ大学博士課程修了。現在、東京大学大学院人文社会系研究科助教。専門はフランス近代詩。論文に「花々について詩人たちが口をつぐむこと-ボードレール、バンヴィル、ランボーにおける英雄的詩人像の裏面」(『フランス語フランス文学研究』第121号、2022年)、« “Crimen amoris”, réponse tardive aux “Sœurs de charité” ? » (Revue Verlaine, no 20, 2023) などがある。

 

「ランボー「酔い痴れた舟」における所有と放棄」

19世紀後半、詩人たちは読者の無理解に曝されているという意識をつよめ、一種のパリアとしての詩人の表象が紋切り型になってゆく。しかし自己喪失を嘆く「私」が詩の中心に置かれるかぎり、詩人は、詩のなかでだけは、主人でありつづける。ここには欺瞞がないだろうか? 本発表では、航海で消耗した舟に詩人が同一化し一人称で語るランボーの詩篇「酔い痴れた舟」を対象とし、メランコリーに沈潜する主体のナルシシズムには還元されない、詩人の疎外という主題のもう一つの側面を明らかにしたい。 

 

● 和田萌(わだ・もえ)

京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了(博士/人間・環境学)。現在、東北大学大学院国際文化研究科助教。専門は国際政治学、フランス現代政治。 著書に『移民を排除する安全保障』(勁草書房、2023年)がある。

 

「包摂と排除の安全保障:2015年パリ同時多発テロ以後に視点をあてて」

近年、「安全保障(sécurité)」を重視する言説が後を絶たない。テロのような脅威からの安全を確保するための諸政策は、国民の保護を目的としているものの、国内で生まれ育ったムスリム系市民を潜在的な脅威として監視するに至っている。本発表では、安全保障が語られる瞬間に作用する権力に着目しながら、パリ同時多発テロ以降、ムスリム系市民の諸権利が制限されてきた状況を振り返る。 また、外務省の宗教担当参事官、および「ライシテ監視機構」の活動を考察することで、安全保障の政治が生み出す排除に対し、いかに立ち向かうことができるのかについて考えてみたい。

 


 

【ご来場に際してのお願い】
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【館内ご利用時につきまして】
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・一定の距離がとれない会話の際にはマスクの着用を推奨いたします。

 

【注意事項】
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