フランスにおける最初の成文憲法である1791年憲法第6篇は「フランス国民は征服を行なうことを目的とするいかなる戦争を企てることをも放棄し、かついかなる人民の自由に対してもその武力を決して行使しない」と規定しています。この条文をきっかけとして、世界では平和主義を憲法で規定するようになりました。現在の世界では、ロシアによるウクライナ侵略、イスラエルのガザ侵攻の勃発により、私たちは、<戦争 の時代>を生きていることを実感します。このような時代に、各国の憲法で規定されている平和主義という法理念・政治理念は、いかなる役割を果たすことができるのでしょうか。
講師プロフィール
青井未帆
1973年生まれ。憲法専攻。国際基督教大学教養学部社会科学科卒業。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得満期退学。信州大学准教授、成城大学准教授を経て、2011年から学習院大学法務研究科教授。著書として、『憲法を守るのは誰か』(幻冬舎ルネッサンス新書、2013年)、『国家安全保障基本法批判』(岩波ブックレット、2014年)、『憲法と政治』(岩波新書、2016年)等がある。
遠藤 乾
1966年生まれ。国際政治専攻。北海道大学法学部卒業。政治学博士(オックスフォード大学)。北海道大学助教授、教授等を経て、2022年から東京大学大学院法学政治学研究科教授。著書として、The Presidency of the European Commission under Jacques Delors: The Politics of Shared Leadership (Macmillan, 1999)、『統合の終焉――EUの実像と論理』(岩波書店、2013年)、『欧州複合危機――苦悶するEU、揺れる世界』(中央公論新社、2016年)等がある。
苅部 直
1965年生まれ。日本政治思想史専攻。東京大学法学部卒業。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。東京大学助教授等を経て、2006年から東京大学大学院法学政治学研究科教授。著書として、『光の領国 和辻哲郎』(岩波現代文庫、2010年)、『丸山眞男 — リベラリストの肖像』(岩波新書、2006年)、『基点としての戦後――政治思想史と現代』(千倉書房、2020年)等がある。
根岸陽太
1988年生まれ。国際法専攻。早稲田大学法学部卒業。早稲田大学大学院法学研究科博士課程修了。マックス・プランク比較公法・国際法研究所客員研究員、西南学院大学准教授等を経て、2024年から西南学院大学教授。著訳書として、Conventionality Control of Domestic Law: Constitutionalised International Adjudication and Internationalised Constitutional Adjudication, Nomos, 2022, ジャン・ダスプルモン(根岸陽太訳)『信念体系としての国際法』(信山社、2023年)がある。