日仏文化講演シリーズ第341回講演会
「文学と感染症―『ペスト』と『隔離の島』をめぐって―」
講師 中地義和(東京大学名誉教授、(公財)日仏会館副理事長)
司会 澤田直(立教大学、(公財)日仏会館常務理事)
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新型コロナウイルスの世界的流行のなかで、感染症の歴史や感染症を描いた文学があらためて脚光を浴びています。
戦後フランスを代表する二人のノーベル賞作家カミュとル・クレジオは、ともに感染症をテーマとする代表作のひとつを書いています。『ペスト』(1947)は、フランスの植民地であった1940年代のアルジェリアの港町オランを舞台に、外部と切断された市民のペストとの闘いを語ります。『隔離の島』(1995)は、19世紀末、かつてフランス島と呼ばれたインド洋西部のモーリシャス島にルーツを持つ作家の祖父が、帰省の船上で遭遇した天然痘騒ぎによる隔離体験に想を汲みます。
二作はともに、感染症の脅威とそれに立ち向かう人々の姿をリアルに描きながら、その筆致は対照的です。また、ともに疫病を語りながら疫病以外のことをも語っています。両者を合わせ鏡のように読み解きながら、今日私たちが置かれている状況とこれらの作品がどう響き合うかを考えます。
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※オンライン開催のため、映像・音声が乱れる箇所がございます。
開始〜1:19:33:講演
1:19:34〜終了:質疑応答
開催日:2020年7月28日(火)
主催:公益財団法人日仏会館