Shuji TAKASHINA (directeur du Musée Ohara, professeur émérite univ. de Tokyo) etc

Lieu

Auditorium de la MFJ

日時 2010年6月12日(土)10時~18時30分
場所 日仏会館1階ホール
主催 財団法人日仏会館

後援 日仏美術学会
参加費 1,000円(学生500円、会員無料)

 
 

<プログラム>
10:00 開会挨拶
 鈴木康司(中央大学名誉教授、日仏会館副理事長)

午前の部:司会 大野芳材

10:00 「フランスのバロック」
 高階 秀爾(大原美術館館長、東京大学名誉教授) 

 南方のイタリアと北方のネーデルランド世界にはさまれたフランスは、早くから中庸の精神に基づき、秩序と均衡を重んずる造形表現を発達させて来た。バロック時代においても、豪華絢爛たるヴェルサイユ体制と同時に、整然とした古典主義美術を生み出した。生涯のほとんどをイタリアで過ごしたクロードとプッサンにその代表例を見る。

11:00 「カラヴァッジョ派からニコラ・プッサンへ」
 新畑 泰秀(ブリヂストン美術館学芸員)

 フランス絵画の17世紀は、同時代イタリアの美術を学びながらも古代美術を参照 することを忘れず、動的で情熱的な様式ではなく、理性を重んじた、規則正しく節度ある古典主義様式をつくりあげた。カラヴァッジョに学びながらも明暗表現にたけた独自の静謐な表現をなしたラ・トゥールからフランス古典主義の原点をなしたプッサンまで、その絵画芸術の本質を探る。

<12:00~13:30 昼休憩>

午後の部:司会 鈴木康司

13:30 「ル・ブランとヴェルサイユ」
 大野 芳材(青山学院女子短期大学芸術学科教授)

 フランス17世紀、国王の即位や結婚や地方都市行幸のおりなどに様々な祝祭が催された。画家や彫刻家や建築家がその際に動員されて、寓意的な内容を伴ったその場限りの多彩な装飾を施したのである。ルイ14世の治世の初め、ヴェルサイユで催された祝祭を中心に、それらの装飾の特質を古典主義との比較を通して考えたい。

14:20 「バロック演劇と宮廷バレエ」
 伊藤  洋(早稲田大学名誉教授、前演劇博物館館長)

 17世紀初頭には「バロック演劇」が盛んに創作・上演されていたが、同じ頃宮廷では観客が参加する「宮廷バレエ」が人気を博していた。その初期宮廷バレエもまた筋書、主題の点で、バロック的色彩を帯びていた。日本では余り知られていない当時のバロック演劇や宮廷バレエがどんなものだったか、各種の絵画資料なども使ってできるだけ分かりやすく紹介したい。

<15:10~15:30 コーヒーブレイク>

15:30 「フランス・バロック・オペラとバレエ」
 関根 敏子(音楽評論家) バロックダンス:市瀬陽子
 バロックギター:竹内太郎

 映画「王は踊る」にも描かれていたように、フランス・バロック・オペラは演劇とバレエを取り入れた独自の構成をとっています。また「ヴェルサイユ・バロック音楽センター」の設立によって、楽譜などの史料と演奏実践の研究が進んだ結果、舞台公演の数が飛躍的に増えてきました。今回はDVD映像だけでなく、舞踏記譜法と舞踏譜に残されている振り付けを実際に踊っていただきます。

17:00 質疑応答

17:30~18:30 懇親会

 「バロック」をキーワードとした総合芸術文化講座を開催するのが、今回の狙いです。ポルトガル語で「ゆがんだ真珠」を意味するBarrocoを語源としたこの言葉は美術史や音楽史では早くから用いられていましたが、文学の世界に導入されたのは第二次大戦頃からで、特に、演劇、宮廷バレエなどに顕著に使われ、現在では定着しております。
 今回は美術史の第一人者、高階秀爾氏を始め、日仏美術学会の錚々たる方々のご協力でまず前半の部を充実し、午後からは前早稲田大学演劇博物館館長の伊藤洋氏や音楽史の関根敏子氏、バロックダンスの市瀬陽子氏を中心に、演劇、バレエのバロックの面白さを追及します。映像もふんだんに利用してバロックの特性を理解しやすいように工夫も致します。


<講師紹介>
高階秀爾(大原美術館館長、東京大学名誉教授)

 東京大学教養学部教養学科卒業。東京大学大学院在学中フランス政府招聘給費留学生として渡仏、パリ大学付属美術研究所及びルーヴル学院で西洋近代美術史を専攻。東京大学文学部教授、国立西洋美術館長を歴任。『ルネサンスの光と闇』(中公文庫)『フランス絵画史』(講談社学術文庫)『フィレンツェ』(中公新書)『増補 日本美術を見る眼』(岩波現代文庫)など著書多数。

新畑泰秀(ブリヂストン美術館学芸員)

 成城大学文学研究科修了後、横浜美術館主任学芸員を経て現職。これまでに企画・担当した展覧会として、 1995-96年「ゴッホ展」、1997年「ターナー展」、1999年「セザンヌ展」、2002- 03年「ヴィフレド・ラム展」、2005年「ルーヴル美術館展 19世紀フランス絵画 -新古典主義からロマン主義へ」、2008-09 年「セザンヌ主義展」、「フランス絵画の19世紀」展等がある。著書に『明るい窓:風景表現の近代』、『失楽園:風景表現の近代 1870-1945』(ともに共著)等

大野芳材(青山学院女子短期大学芸術学科教授)

 東京大学人文科学系大学院美術史専攻博士課程中退、パリ第四大学博士課程留学、東京大学文学部助手を経て現職。著訳書に『18世紀の美術』(共訳、岩波書店)『シャルダン』(翻訳、西村書店)『フランス近世の美術』(財務省印刷局)など。『ジョルジュ・ド・ラ・トゥール』『ルーヴル美術館展-美の宮殿の子どもたち』などの展覧会にも携わる。

伊藤 洋(早稲田大学名誉教授、前演劇博物館館長)

 パリ大学博士(仏文学)。専門:17世紀フランス演劇。主要著訳書:『宮廷バレエとバロック劇』、『フランス演劇史概説』(共著)、『コルネイユ名作集』、『フランス古典喜劇』、『コメディ=フランセーズ』(訳書)など。    

関根 敏子(音楽評論家)

 桐朋学園大学音楽学部作曲理論学科(音楽学)卒業後、フランス政府給費留学生としてパリ音楽院に学ぶ。チェンバロをS.ロス、T.コープマン他に師事。現在、昭和音楽大学・東洋大学・白梅学園大学各講師、音楽文献目録委員会事務局長。主要著訳書:『古楽演奏の現在』(監修・共著)、『西洋の音楽と社会:後期バロック』(監訳2巻)、A.ヘリオット著『カストラートの世界』(共訳)他多数。4月よりNHK-FM番組「バロックの森」を担当。

 

市瀬 陽子
立教大学仏文学科、東京芸術大学芸術学科卒。ルネサンスからバロック、ロココに至る西欧舞踊史を研究、舞台を制作上演する。聖徳大学准教授、東京芸術大学講師、昭和音楽大学バレエ研究所研究員、東京二期会オペラ研修所講師。

 

竹内 太郎

立教大学卒業、英国のギルドホール音楽院古楽科修了。1997年度文化庁在外派遣芸術家。ワルシャワ・ショパン音楽院招聘教授(通奏低音)。英ロイヤルオペラ、ナイジェル・ケネディ、サイモン・ラトル、ベルリンフィルなどと共演。CD,DVDなど多数。ソロCDには「フォリアス!」「ギターを作った世紀」などがある。英国リュート協会(LS)理事、日本リュート・アーリーギター協会(LGS)ディレクター。ロンドン在住。http://www.crane.gr.jp/~tarolute