日仏文化講演シリーズ第339回美術講演会
「エドゥアール・マネの絵画」
講師 三浦篤(東京大学大学院総合文化研究科教授、(公財)日仏会館常務理事)
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19世紀フランスの画家エドゥアール・マネ(1832-1883)は、世代的にレアリスムと印象派のはざまに位置しつつ、主題と造形の双方において近代絵画を創始した画家として認識されています。
しかしながら、マネの絵は見かけほど単純ではなく、具体的に理解するのは容易ではありません。積極的に古画を取り入れ、独自のイメージ生成に用いるのが大きな特徴で、その成果となる作品を第二帝政期から第三共和政初期にかけてサロン(官展)に応募して、さまざまな軋轢を生み出し、毀誉褒貶を蒙りました。あくまでもサロンを闘いの場とし、印象派展に参加しなかったマネは、絵画の伝統や歴史画を切り捨てるのではなく、それらと対決して変容させながら「新しい絵画」を作り出したのです。
本講演会では、具体的に作品を見ながら、マネの画家としての軌跡をたどり、その特質と歴史的な意味を探ります。
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開始〜1:10:37:講演
1:10:38〜終了:質疑応答
開催日:2020年6月19日(金)
主催:公益財団法人日仏会館
●講師プロフィール●
1957年、島根県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。専門はフランス近代美術史、日仏美術交流史。東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。パリ第4大学で文学博士号(美術史)。『近代芸術家の表象』(東京大学出版会、サントリー学芸賞)、『まなざしのレッスン』『まなざしのレッスン』1・2(東京大学出版会)、『エドゥアール・マネ 西洋絵画史の革命』(角川選書)をはじめ、多数の著書、編著、訳書がある。2015年、フランス共和国芸術文化勲章シュヴァリエ受勲。公益財団法人日仏会館常務理事。