伊藤 洋(早稲田大学名誉教授・早稲田大学演劇博物館顧問・前館長)

日時: 5月9、16、23、30日(各水曜日) 14:30~16:00

・ 講師:伊藤 洋(早稲田大学名誉教授・早稲田大学演劇博物館顧問・前館長)

・ 受講料: 会員6,000円 非会員8,000円(要申込み 申し込み方法は下をご参照下さい)

・ 場所:日仏会館501室

 

バロックという言葉は現代日本でもしばしば使われますが、非常に多彩な意味になり本来の意味があいまいになっていいます。ここでは16世紀末から17世紀前半までのヨーロッパ芸術、とりわけ文学・演劇に当てはまる意味に限定して使います。

フランスのバロック劇作家の筆頭はアルディとロトルーですが、それを凌駕した劇作家がこの二人から学んだと言われるピエール・コルネイユです。彼の作品はバロック的色彩を強く持ち、同時に古典主義演劇の特色も持っています。この講座では主として日本語訳のある劇作品を取り上げ、バロック演劇の特質とコルネイユの面白さを考えてみたいと思います。上に挙げた作品はすべて翻訳・出版されています。

バロック美術も演劇も視覚・聴覚に訴えかけるものなので、できるだけ毎回、写真やCD,DVDなどの音声・映像資料を使いながら、わかりやすく楽しく話を進めていきます。劇作品のあらすじや名せりふなどは手元に配布します。

 

5月 9日(水)

「バロックとは、バロック演劇とは?」

5月16日(水)

「幻想を描く喜劇『舞台は夢』」

5月23日(水)

「青春の悲喜劇『ル・シッド』、悲劇『オラース』」

5月30日(水)

「転変常なき世界『ロワイヤル広場』、『嘘つき男』」

 

 

 

1回目:バロック建築や美術の写真映像を参照しながら、バロック芸術の特質を考えます。例えばローマのサン・ピエトロ大聖堂前にベルニーニが作った広場と柱廊の隠れた意味、フランドル絵画の巨匠ルーベンスなどの絵画を見てみます

 

 2回目:フランスでは近年頻繁に上演されているバロック演劇の傑作『舞台は夢』のいろいろな舞台映像を紹介します。これは日本でも上演された2008~09シーズンからその舞台映像も鑑賞します。

 

3回目:『ル・シッド』に出演し一世を風靡したジェラール・フィリップの舞台写真を見ながらその名調子を聞きます。そしてバロック的な演出とも言える<フラメンコ『ル・シッド』>の舞台映像を見て名場面を楽しみます。

 

4回目:フランスではたびたび上演されている上品な喜劇『嘘つき男』の舞台映像を鑑賞しながらバロック演劇の世界を味わい、同時に垣間見られる古典主義演劇の要素も考えてみることにします。

 

 

お申込み方法

FAX(03-5424-1200)、E-mail(bjmfj@mfjtokyo.or.jp)いずれかの方法で日仏会館事務局宛ご連絡下さい。折り返しFAXあるいはE-mailで受付番号と振込先をお知らせいたしますので、受付日から1週間以内に受講料をお振込下さい。

 

 

 伊藤 洋(いとう・ひろし)

早稲田大学名誉教授、演劇博物館顧問(前館長)。早稲田大学大学院文学研究科仏文専攻博士課程満期退学、パリ大学文学部仏文科博士課程修了(パリ大学博士)。[専門:17世紀フランス演劇]『宮廷バレエとバロック劇』、『フランス十七世紀演劇事典』『フランス演劇史概説』『フランス文学講座4-演劇』(共著)、『フランス十七世紀演劇集』『コルネイユ名作集』『フランス古典喜劇』『コメディ=フランセーズ』(訳書)など。