19世紀から20世紀にかけてのフランスは、パリを中心に芸術家の交友、作品の影響の両面において、文学、美術、音楽などの諸芸術が緊密に交流して いた。そのこと自体は既に知られているが、その豊かな成果は詳しく分析、解明されているとは言い難い。これまでとは異なる視点、新鮮な問題意識から、芸術 照応の内実にアプローチするのは意味のあることではなかろうか。外国人研究者を含め、文学、美術、音楽の各分野から集まった発表者は、少なくとも二つの異 なる領域にまたがる主題を取り上げることになるだろう。2日目のシンポジウムの後には、テーマにちなんだミニ・コンサートを開催して、研究と実演の照応も 目指したい。
プログラム
11月7日(土)
10:00 – 10:15 イントロダクション 三浦篤
第1部:19世紀における「芸術(家)」の誕生
司会:山田広昭(東京大学)
10:15 – 10:45 野村正人(学習院大学)
諷刺新聞『シルエット』(1829-1831) -- 諷刺と芸術の交差
10:45 – 11:15 セゴレーヌ・ル・メン(パリ西大学)
オノレ・ドーミエの《トランスノナン街》、石版画としてのタブロー
11:15 – 11:45 野平一郎(作曲家 ピアニスト 東京藝術大学教授)
ベルリオーズからワーグナーへ 〜19世紀ロマン派の作曲家たちとモデルニテの兆候〜
11:45 – 12:15 質疑応答
第2部:19世紀後半から世紀末の諸芸術の交流
司会:天野知香(お茶の水女子大学)
14:00 – 14:30 寺田寅彦(東京大学教授)
エミール・ゾラと1880年のサロン
14:30 – 15:00 三浦篤(東京大学)
ファンタン=ラトゥールと音楽
15:00 – 15:30 松橋麻利(獨協大学)
印象主義と象徴主義の思潮のなかでドビュッシーが見つけたこと
15:30 – 16:00 質疑応答
司会:野村正人
16:20 – 16:50 山田広昭(東京大学)
照応か、それとも総合か? 競合する芸術を前にしたヴァレリー
16:50 – 17:20 椎名亮輔(同志社女子大学)
モーリス・ラヴェル、メセナ、外国人芸術家たち
17:20 – 17:40 質疑応答