第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけてのいわゆる両大戦間期のパリは、シュルレアリスムをはじめとする前衛芸術運動が華やかに展開しただけでなく、大衆文化や黒人芸術などもそれに絡み合い、外国出身の芸術家も含め、複雑な交友関係がみられ、それが作品に陰に陽に影響を与えた。この豊饒な文化状況は夙に知られているとはいえ、領域が多岐に渡るため、十分に研究解明が尽くされているとは言い難い。本シンポジウムでは、新たな問題意識から、この時代の文学、映画、写真、音楽などの交流にアプローチしてみたい。外国人研究者も含め、各分野から集まった発表者は少なくとも二つの異なる領域にまたがる主題を取り上げることになるだろう。2日目のシンポジウムの後には、この時代にちなんだミニ・コンサートを開催して、研究と実演の照応も目指したい。
プログラム
10月29日(土)10:00 ~ 17:40
10:00 イントロダクション 澤田直( 立教大学)
第1部 シュルレアリスムとその外部
司会: 鈴木 雅雄( 早稲田大学)
10:15 永井 敦子( 上智大学)
「植民地博覧会に行くな」-1930年代から40年代の
シュルレアリスム文学と植民地表象 -
10:45 エルザ・アダモヴィッチ( ロンドン大学)
シュルレアリスムの書物 ー詩人と画家は対話するー
11:15 星埜 守之( 東京大学)
シュルレアリスムと日本の「前衛」
11:45 質疑応答
12:15 ランチ・タイム
第2部 ジャンルの越境
司会: 塚本 昌則( 東京大学)
14:00 ミカエル・フェリエ( 中央大学)
ジャズ、「驚きのサウンド」と誤解
14:30 鈴木 雅雄( 早稲田大学)
森のなかでのように、夢のなかでのように
- 映画、精神分析、シュルレアリスム –
15:00 千葉 文夫( 早稲田大学)
マルセル・デュシャン/ローズ・セラヴィの3D映画
15:30 質疑応答
16:00 コーヒー・ブレイク
第3部 写真をめぐって
司会: 澤田 直( 立教大学)
16:20 ミシェル・ポワヴェール( パリ第1大学)
シュルレアリスム、あるいはヴァナキュラー写真の発明
16:50 昼間 賢( 立教大学)
書物への写真、書物から写真へ
- ロジェ・パリーを例として –
17:20 質疑応答
10月30日(日) 10:00 ~ 17:15
第4部 文化のるつぼ
司会: 永井 敦子( 上智大学)
10:00 柳沢 史明( 東京大学)
「アフリカ美術研究のための方法」を求めて
-カール・アインシュタインと「アール・ネーグル」-
10:30 河本 真理( 日本女子大学)
〈オブジェ〉の挑発 - シュルレアリスム/プリミ
ティヴィスム/大衆文化が交錯する場
11:00 パスカル・ブランシャール
(パリ・ドフィーヌ大学CNRS-LCP-IRISSO)
1931年の植民地博覧会- 30年代のただなかで、
フランス文化のただなかで-
11:30 質疑応答
12:00 ランチ・タイム
第5部 パリの黒いアメリカ
司会: 千葉 文夫( 早稲田大学)
13:30 荒 このみ( 東京外国語大学)
〈ニグロ・レヴュー〉とジョセフィン・ベイカー
14:00 ヤニック・セイテ( パリ・ディドロ、パリ第7大学)
パリ、ハーレム・ルネサンスの飛び地
14:30 質疑応答
14:50 全体討議 司会: 澤田 直( 立教大学)
15:50 コーヒー・ブレイク
16:15~17: 15 ミニ・コンサート
特別企画「 白と黒の幻想」
演 奏 : 早稲田大学 ハイソサエティ・オーケストラ
バンドマスター 村上紗彩(アルト・サックス)
コンサートマスター 武蔵千聖(バス・トロンボーン)
演奏曲目
Some of these days
Diga diga doo
The Mooche
I can’t give you anything but love
Swing low sweet chariot 他