デジタル革命、グローバルターン以降の文学は如何なるものか。この問いを平成期が終わった日本文学の現代に投げかける。この広いテーマを扱うには、フランス語で書かれる現代文学史(翻訳された作品を中心に)を背景に、幾つかの外からの解釈を導入したい。1985年代以来900点以上の日本の作品が仏訳された。選定の基準、方法、効果、受容といった社会学的アプローチから、日仏の文学の場を検討すると、浮遊する景色が見えてくる。一方に文化遺産としての文学があれば、もう一方には、読書の衰退、出版の変貌、ジャンルの融合、作家の世代交代などがある。しかし、国際化と「3・11」後の壊れ始めた世界の間に、これからの文学の新しい軌道が見え始めている。
坂井セシル
パリ・ディドロ大学教授、2016年9月から日仏会館・フランス国立日本研究所所長。専門は日本近現代文学。著書にHistoire de la littérature populaire japonaise 1900-1980, Paris, L'Harmattan, 1987 (『日本の大衆文学』朝比奈弘治訳、平凡社、1997年)、Kawabata le clair-obscur - Essai sur une écriture de l'ambiguïté(明暗の川端―曖昧性のエクリチュールに関するエッセー)Paris, Presses Universitaires de France, 2001, rééd. 2014 他、日本近現代文学についての論文、翻訳、多数。
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