加藤周一(1919.9.19 - 2008.12.5)は戦後日本を代表する国際的知識人、語の真正の意味での批評家にして作家。主著は『抵抗の文学』、『雑種文化』、『羊の歌』、『言葉と戦車』、『日本文学史序説』、『日本その心とかたち』、『私にとっての20世紀』、『日本文化における時間と空間』、『夕陽妄語』など。『日本文学史序説』(上・下)は7ヶ国語に翻訳されている。
平凡社『世界大百科事典』の編集長だったことが示すように「専門をもたないことを専門」とし、学問のタコツボ化を排して文学・芸術・思想から歴史・政治・社会までを自由自在に論じた。言論の自由を守るため特定の組織に帰属することを好まず、和・漢・洋に通じ、英・独・仏をよくして諸外国の大学に招かれ、日本の文化を世界に伝え、世界の動きを日本に伝えた。一言にして、日本を愛するがゆえに日本の行方を憂えたコスモポリタンなパトリオット。晩年は「九条の会」の呼びかけ人になり、平和主義を貫いた。加藤周一とともに、世界の中の日本の未来を考える。
*都合により、白井聡氏の登壇が1日目9月21日(土)第3部、クリストフ・サブレ氏の登壇が2日目9月22日(日)第6部に変更となりました。何卒ご了承ください。
9.21(土) 同時通訳あり
10 : 00 - 12 : 15
1/ 「雑種文化論」の射程
司会:三浦信孝(日仏会館副理事長)
加藤周一は「洋学紳士」か、それとも「日本人論」者か?
樋口陽一(日本学士院)
「雑種文化論」と日本の近代化
ピエール=フランソワ・スイリ(ジュネーヴ大学名誉教授)
戦後思想における加藤周一の位置
小熊英二(慶応義塾大学)
13 : 45 - 15 : 45
2/ 私たちが加藤周一に負うもの
司会:鷲巣 力(立命館大学)
遠くの鏡 ― 「知力と愛情」: 加藤周一とドイツ
イルメラ・日地谷=キルシュネライト(ベルリン自由大学)
なぜ私は日本語で小説を書くか
水村美苗(作家)
加藤周一の日本古典文学研究:その国際的影響に関する私見
ソーニャ・アンツェン(トロント大学名誉教授)
15 : 45 コーヒーブレーク
16 : 15 - 17 : 45
3/ 加藤周一をめぐる誤解を晴らす
司会:ベルナール・トマン(INALCO)
パトリオティズムとナショナリズム:加藤周一における愛国心
白井 聡(京都精華大学)
三つのドキュメンタリーを通して見た加藤周一:ユマニスム思想のための比較研究の方法
ジュリー・ブロック(京都工芸繊維大学)
9.22(日) 日本語のみ
10 : 00 - 12 : 00
4/ 加藤周一を批判的に継承する
司会:澤田 直(立教大学)
文化・人権・立憲主義―グローバル化時代における立憲主義構想のためにー
山元 一(慶應義塾大学)
『日本 その心とかたち』再読:比較美術史のパースペクティブ
三浦 篤(東京大学)
非ヘーゲル的な夕暮れへの招待:加藤周一と弁証法
片岡大右(慶応義塾大学非常勤講師)
13 : 30 - 15 : 30
5/ 加藤周一における文学と政治
司会:西谷 修(東京外国語大学名誉教授)
「戦争文化」への抵抗をめぐって
海老坂 武(元関西学院大学)
ヴァレリーを読む加藤周一(小林秀雄のヴァレリーとの比較において)
三浦信孝(中央大学名誉教授)
文学とは何か:加藤周一、サルトル、そして独自的普遍
澤田 直(立教大学)
15 : 30 コーヒーブレーク
16 : 00−17 : 30
6/ 加藤周一を超えて考える: 世界の中の日本
司会:三浦信孝
加藤周一との二つの討論から: クレオール思想とバチカン外交
西谷 修(東京外国語大学名誉教授)
『日本文化における時間と空間』の受容、かくも残念な誤解
クリストフ・サブレ(フランス国立科学研究センター)