登壇者:蔡 家丘(国立臺灣師範大学芸術史研究所助理教授)、佐藤道信(東京藝術大学教授)、高橋明也(三菱一号館美術館館長)、樋田豊次郎(東京都庭園美術館館長)、三浦 篤(東京大学総合文化研究科教授)、ラワンチャイクン寿子(福岡アジア美術館学芸員)

会場

日仏会館ホール

定員

120

言語

日本語

主催

公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館 

協力

公益財団法人日仏会館

お問合せ

東京都庭園美術館 事業係「アジアのイメージ」展
シンポジウム担当
Tel 03-3443-0201 Fax 03-3443-3228 E-mail:info@teien-art-museum.ne.jp

1910年(明治末期)頃から、日本の文壇や画壇ではアジアへの憧れが高まります。特に中国を素材とした小説や紀行文、そして美術作品が次々と生まれています。

 東洋憧憬ブームの火付け役のひとつは、日本の財界人たちが競うようにはじめたアジア古典美術の蒐集でした。中国や朝鮮の陶磁、文人が煎茶に応用した藤籠などが好まれました。これにアジア各地で発掘された考古遺物の輸入も加わります。楽浪漆器、古代青銅器、唐三彩、磁州窯、定窯の陶磁器などです。

 これらを目の当たりにした画家は、東洋の壷を西洋の「静物画」に引用します。工芸家は東洋美術の形や文様を、パリ伝来のアール・デコに同化させました。

 画家のなかには、中国を旅して、雲岡石仏と我が飛鳥仏との繋がりに思いを馳せた人たちもいます。彼らは西洋人の東洋趣味を反映したチャイナドレスにも目を留め、アジアの新しい息吹をキャンバスに記録しました。

 日本の美術家たちのアジアを見る目は、西洋人のオリエンタリズムの日本版だったのでしょうか。それとも、そこには独自性があったのでしょうか。また、日本の東洋憧憬から生れた美術作品は、ひるがえって、明治期の美術界や文化政策にどのような変革を与えていったのでしょうか。日本人の東洋憧憬が日本の美術界に起こした波紋に光を当てます。

 

*東京都庭園美術館にて開催中の展覧会「アジアのイメージ―日本美術の東洋憧憬」(会期:2019年10月12日~2020年1月13日)記念シンポジウムです。

 

 

【プログラム】(予定)

10:30 ご挨拶

10:40〜13:30 第1部 外国から見た日本人の東洋憧憬
※途中で昼休憩(11:45〜13:00)を挟みます

13:35〜15:30 第2部 東洋憧憬の作品が日本美術に残したもの

15:30〜17:00 ディスカッション

*詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

【登壇者プロフィール】

蔡 家丘 さい じゃちょう(国立臺灣師範大学芸術史研究所助理教授)
筑波大学人間総合科学研究科芸術専攻修了、美術史博士取得。
現在、國立臺灣師範大學藝術史研究所助理教授。
専門分野は、近代日本人画家の東アジアの旅行と創作、台湾と日本の美術交流などである。

 

佐藤道信 さとう どうしん(東京藝術大学教授)
1956年生まれ。東北大学修士修了。板橋区立美術館、東京国立文化財研究所を経て1994年より東京芸術大学、現在同教授。近代日本美術史。主著に『〈日本美術〉誕生』(1996)『明治国家と近代美術』(1999)など

 

高橋明也 たかはし あきや(美術史家・三菱一号館美術館 館長)
東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。
1984-86年文部省在外研究員としてオルセー美術館開館準備室に在籍。
国立西洋美術館学芸課長を経て、2006年に三菱一号館美術館館長就任。
2010年フランス芸術文化勲章シュヴァリエ受章。

 

樋田豊次郎 ひだ とよじろう(東京都庭園美術館 館長)
1979年より東京国立近代美術館工芸館に勤務。2007年に秋田公立美術大学理事長及び学長に就き、16年から東京都庭園美術館館長。著書に『明治の輸出工芸図案-起立工商会社工芸下図集』、『工芸の領分-工芸には生活感情が封印されている』他多数

 

三浦 篤 みうら あつし(東京大学総合文化研究科教授)
東京大学総合文化研究科教授。東京大学教養学部卒、パリ第4大学博士号取得。専門は西洋近代絵画史、日仏美術交流史。著書に『近代芸術家の表象』、『エドゥアール・マネ』、『まなざしのレッスン』『ジャポニスム入門』など。

 

ラワンチャイクン寿子 らわんちゃいくん としこ(福岡アジア美術館学芸員)
福岡アジア美術館学芸員。主に東アジア・東南アジアの近代美術を担当。『チャイナ・ドリーム』(2004年)、『日本時代の台湾絵画』(2006年)、『東京・ソウル・台北・長春─官展にみる近代美術』(2014年)などの展覧会を企画。