ルネサンス期フランスの書物の歴史は、アナール派の著作の翻訳や、宮下志朗氏の著作・翻訳を通して、1980年代以降日本でも広く一般に紹介されてきました。今秋、書誌学と16世紀フランス文学を結びつける新しい手法で注目されるギヨーム・ベルトン氏、またルネサンス高等研究所でテキストのデジタル化、蔵書管理に携わりながら実証的な研究を続ける上谷俊則氏が来日されます。この機会に御三方によるシンポジウムを開催し、写本から活字本への移行のちょうど交差点となる16世紀における、本と本にまつわる人間(作家、編集者、書籍商、翻訳家等)の変容、文学の連環を考察します。
ギヨーム・ベルトン:「クレマン・マロ(1496-1544)、詩作品、書物:遺言の物語?」
上谷俊則:「フランス16世紀における本の変容と職業翻訳家の誕生」
宮下志朗:「『引用』『加工』『リサイクル』──連鎖するルネサンス文学(ヴィヨン、パトラン、オイレンシュピーゲル、ラブレー)」
※本シンポジウムはJSPS科研費 (23K004210) の助成を受け開催します。