20世紀フランス文学は、ダダイスムやシュルレアリム、実存主義などの様々な潮流を経て、ヌーヴォー・ロマンの作家により実験的な小説が数多く発表された。ドイツ占領下のパリにおいて、1941年に創設された地下出版社であるミニュイ社から、とりわけ戦後ジェローム・ランドンが編集長として発掘したアラン・ロブ=グリエ、サミュエル・ベケット、ナタリー・サロート、クロード・シモン、ミシェル・ビュトール、マルグリット・デュラスらの作品は、フランス国内外の文学作品に大きな影響を与えた。1970年代以降は、女性作家やフランス語で作品を発表する外国人作家の活躍も目覚ましく、フランス本国という枠を超えたフランス語圏文学として注目を浴びている。パリ第3大学名誉教授であるミレイユ=カル・グリュベール氏は20世紀に活躍をした多くの作家と親交をもちながら、作品の批評を手掛けただけではなく、作家を招いた形でシンポジウムを開催したり、全集の編集を手掛けたり、未完の作品を編集して世に送り出すなど、20世紀フランス文学の研究と紹介に尽力してきた。作家としても活躍されているカル・グリュベール氏のこれまでの功績を振り返りながら、第一線で活躍する日本のフランス文学研究者とともに20世紀フランス文学の検証を行う。
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